生活習慣病

生活習慣病の種類

糖尿病

糖尿病は、血糖値を下げるはたらきをもつインスリンというホルモンが十分に分泌されなかったり、うまく働かなかったりして高血糖の状態が続く病気です。インスリンが正常に作用していれば、特別な問題は生じません。しかし、高血糖が慢性化すると血液中の糖が尿に排出されるようになり、さまざまな合併症のリスクを高めます。

原因

偏った食事、運動不足、肥満、喫煙、過度な飲酒、ストレスに加え、家族性・遺伝因子などが糖尿病の発症に影響するとされています。

治療

糖尿病の治療は、食事療法・運動療法・薬物療法を基本とし、患者さんそれぞれの体質・生活に合わせた個別化治療が重要です。血糖値や合併症の進行を定期的にチェックし、必要に応じて治療方針を見直すことで、長期にわたって良好な血糖コントロールを目指します。

食事療法
糖尿病の管理には、まず日々の食事を見直すことが重要です。過剰なカロリー摂取は血糖値を上昇させる原因となりますので、野菜やたんぱく質をバランスよく取り入れながら、適度なエネルギー量を心がけるようにしましょう。
運動療法
ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、インスリンのはたらきを高めると同時に体重管理もしやすくしてくれます。持病や体力に不安がある方は、担当医の指示に従いながら少しずつ始めると安心です。
薬物療法
食事や運動だけでは血糖値のコントロールが難しい場合、薬物療法の導入が検討されます。1型糖尿病の場合はインスリン注射が欠かせませんが、2型糖尿病の場合は主に経口血糖降下薬が使われ、状況に応じてインスリン注射を併用することもあります。

高血圧

上(収縮期)140/90mmHg以上、または家庭で測った場合135/85mmHg以上が「高血圧」とされます。高血圧が続くと動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳卒中といった重篤な病気のリスクを高めるおそれがあります。

原因

食塩の過剰摂取、運動不足、飲酒、肥満、ストレス、遺伝的体質、ホルモン異常(二次性高血圧)など、さまざまな要因が組み合わさって発症すると考えられています。

治療

高血圧の治療では、まず正確な血圧を知ることが大切です。毎日同じ時間に計測し、2週間ほど記録します。高血圧の疑いが強い場合は、塩分制限をはじめとする食事療法や運動習慣の見直しを行い、必要に応じて薬物療法を併用します。薬は長期服用が必要となることもあり、効果や副作用を見ながら医師と相談して調整を続けるのがポイントです。

食事療法
高血圧の治療においては、塩分を控えることが最も重要です。外食や加工食品などで過剰摂取になりやすい塩分量を見直すと、血圧の改善が期待できます。また、禁煙や飲酒量の適正化などの生活習慣の修正も大切です。
運動療法
軽めのウォーキングやストレッチなど定期的な運動は、血圧を安定させる上で有効です。体力や心肺機能に合わせて少しずつ取り入れ、継続しやすいメニューを選ぶことがポイントです。
薬物療法
血圧を下げる効果のある降圧薬を使用します。効果を定期的に観察し、必要に応じて薬の種類や量を変更していきます。長期間の服用が必要なケースもあるため、医師と相談しながら継続することが大切です。

脂質異常症

脂質異常症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪の値が適正範囲を外れている状態を指します。放置すると動脈硬化のリスクが高まり、心血管疾患につながる可能性があります。

原因

高カロリー・高脂肪な食事やアルコールの摂り過ぎ、運動不足、ストレス、喫煙などの生活習慣が脂質異常症の主な要因です。また、家族性高コレステロール血症のように遺伝的にコレステロール値が高くなりやすい方もいます。

治療

脂質異常症の治療は、食事療法・運動療法・薬物療法の大きく3つの柱を組み合わせて進められます。まずは生活習慣を整え、過度なストレスや睡眠不足といった要素を改善することが基本です。食事や運動だけで十分な効果が得られない場合や、遺伝的要因で数値が高い場合には、薬物療法が検討されます。

食事療法
脂質異常症の食事管理では、まず動物性脂肪のとり過ぎを控えることがポイントです。具体的には、肉の脂身や揚げ物、バターなどです。野菜や海藻、きのこ類など食物繊維を豊富に含む食材を積極的に摂取すると、コレステロールの吸収を抑制する効果が期待できます。
運動療法
ウォーキングやジョギング、水泳といった有酸素運動を適度に行うことで、血液中の中性脂肪を低下させ、善玉コレステロール(HDL)の増加が期待できます。無理のない範囲で運動を続けるためには、自分の体力や体調を考慮したメニューを選ぶことが大切です。
薬物療法
生活習慣の改善だけでは数値が十分に下がらない場合や、遺伝的要因などで重度の脂質異常症がある場合には、薬による治療が行われます。症状によっては複数の薬を併用するケースもあります。服用開始後は2~3カ月に一度のペースで血液検査を行い、コレステロール値や中性脂肪、肝機能などを確認しながら薬の種類や量を調整します。